‡恥露勇然‡
2021/07/26 諸葛求

周囲や場の空気に輪郭を合わせてしまう。
会社組織でも友人関係でも、
こうした選択を取ってしまう人は、
世の中とても多いようです。
私自身、プロジェクト管理の
真似事のような職についていた頃、
各方面との調整ほど心を砕くタスクは
なかった様に思われます。
根が真面目なので、
「〜〜ねばならない」
「〜〜するようにしなきゃ」
という目標達成への執着も強く、
全体の進行と個々人の要望の調整を取るのには、
実に神経をすり減らしたものです。
遂には疲労困憊の末、
しばらくダウンしたこともある始末ですが、
今にして思えば杞憂過ぎる気負いや、
失敗への恥、迷惑を掛けることへの恐れが、
余計な緊張を自分に
重ね掛けていたようにも思われます。
競争社会が加速する現代において、
弱さや甘さを覗かせる態度や発言というのは、
激しい糾弾の対象とされるのが
常になっているようです。
そうした過緊張の渦から離れて、
あえて自らの痴態を晒すことが
出来る相手というのは、世界広しといえど、
我々セラピストくらいではないでしょうか。
このサービスのご利用目的として、
最も“見かけの”割合を占めるのは、
「ストレスの発散」というところでしょうが、
私の考える何よりの一番の効用は、
「恥を晒す勇気が持てること」だと
勝手に思っています。
もちろんデリケートな領域ですので、
個々人の恥の詳細は絶対、
絶対の秘密厳守ですが、
われわれタガを外すことに
長けているセラピスト連中は、
並大抵の醜態を目にするだけでは
驚きはしないでしょう。
一度、自分の恥の中身を、
誰かに解放してみてください。
そうすれば今まで気にしていた他者の眼差しも、
「なんだ、こんなものか」と思えてきて、
自分を主張することに怖じけずに済むように
なるのではないか、などと、
それっぽい理屈を並べて置きます。
所詮、人間。
法に触れない程度にだったら、
こっそり恥を放り散らかしても、
お天道だっていちいち照らしやしませんから。
※アイキャッチ絵画作品:
https://tacit.tokyo/diarytherapist/spot/12/page/1/
End Of File.