馬のお尻

こんばんは。

 

靴磨き職人の藍沢優作です。

僕が持ってる中で1番気に入っている革靴のメンテナンスをしました。

 

 

ところで、コードバン、って聞いたことありますか?

革には色んな動物のものがあります。
牛、豚、山羊、羊、ワニ、ダチョウ、カバ、トカゲ、などなど。

数ある革の中でも、最も美しく、「革のダイヤモンド」と言われる、コードバンという革があります。

 

コードバンとは、馬のお尻部分から取れる革のことです。お馬さんには申し訳ないですが。
一頭から採れる量もごくわずかで、どの馬にもあるとは限りません。

 

通常動物の革というのは外側を使いますが、コードバンは皮の中にある厚さ2mm程度の「コードバン層」と呼ばれる部分だけを削り出したものです。

 

キメが細かく、ツヤの出方が他の革とは比べ物にならないほど美しいです。
特に僕が好きなポイントは、シワの入り方です。
シワの幅が大きくダイナミックな波になります。

 

 

革好きな人なら、パッと見ただけで、これはコードバンだって分かるとほどシワもツヤも違います。
僕も違いの分かる男なので分かります。(笑)

革自体は頑丈で、牛革の3倍ほど丈夫と言われていますが、繊細な表面は傷や水濡れにはとても弱いです。

 

その為手入れの仕方も、他の革より少し難しく、そこが男心をくすぐります。
手のかかる子は本当にかわいいというものです。

 

 

基本の流れは、
馬毛ブラシで埃を落とす→クリーナーで汚れ落とし→クリームで保湿→豚毛ブラシでクリームを馴染ませる→ポリッシャーなどで磨いてツヤを出す。

 

という感じで同じですが、コードバンの場合、いわゆる鏡面磨きという、ピッカピカに光らせることもできます。
クリームの後に、ワックスを何層にも塗り重ね、表面の目に見えない凸凹を埋めていくことで、光が反射しやすくなるという原理です。

 

コードバン好きの間ではこれが醍醐味と言う人も多いですが、僕はしません。

 

毛穴が詰まって革に悪そうだし、ピカピカすぎるのもやりすぎ感があってあんまり好みではないです。
靴は足下にあるもの、多少傷があるくらいの方がかっこいいと思ってます。

 

基本の流れでは書きませんでしたが、1つコードバンの手入れで特徴的なものがあります。
それが、写真の右手前にある謎の黒いヒルみたいな物体です。

 

これは牛の角でできた、かっさです。
何に使うかというと、コードバンの革の表面をかっさで潰して撫でていくんです。

 

コードバンは実は表革ではありません。
最初に言いましたが、皮の内側を削り出したものなので、スウェードのようなイメージの方が近いかもしれません。

その表面を潰して滑らかにしていったものがコードバンです。

 

なので、水がついたり汚れ落としなどをすると、表面がほんのわずか毛羽だってきます。
それでは綺麗なツヤがでないので、かっさを使ってなめしていきます。

 

これは普通の革にはしない作業です。

 

こうして色んな手間をかけて手入れをしてあげると、なんとも美しい革靴になります。

 

他の靴3足分くらいの時間をかけてようやく手入れ終了です。

 

手入れが終わった後の靴を眺めると、うっとりして、ニヤニヤが止まりません。

もう幸せです。