その一歩が。

山手線に乗りこむと、

満員にも関わらず、4つぐらい席が空いていた。

 

見るとその座席のすぐ下に、人が倒れていた。

 

酔っ払って寝ているだけかもしれないが、

もしかしたら、急病か最悪の事態も考えられる。

 

でも周りの人は近づかず、そのスペース以外のところに立っていた。

 

東京は酔っ払って電車の床で寝る人も多いので、

近づきたくない気持ちは、僕もよくわかるが、

まだ酔っ払うには早い時間だったので、

万が一のことも考え、声をかけた。

 

関西人&海外生活で、

人の目を気にしない精神がここで生きた。

 

息はしていたが、体はピクピクという動きで、

ゆすったりもしたが、反応は無し。

寝ているだけかどうかはまだ判断ができず、

電車走行中で駅員さんも近くにはいないので、とりあえず110番で警察に電話。

119番も考えたが、まだ状況が明確ではなかったので、とりあえず警察の指示を仰ごうと思った。

 

 

状況を説明すると、

電車は進み続けるので、とりあえず駅に降ろさないと対応出来ないとのこと。

ごもっともだが、状態がまだわからないので動かしていいのかどうかもわからず、

とりあえず次の駅に着いた時に、駅員さんを呼ぶことに。

警察の方は「ご対応をどうもありがとうございます。ご連絡をお待ちしています。」と言ってくれ、少し安心した。

 

あまり電車を止める事はしたくなかったが、

運良く1両目だったので、停車中に運転手さんに素早く伝え、

その次の停車駅で駅員さんが車内へ駆けつけ対応してくれた。

 

その間に一人のスーツを着たおじさんが、

「何か協力できる事はある?」と声をかけてくれ、

もう大丈夫だという事を伝えると、

「対応してくれてありがとう。」との言葉を頂いた。

 

周りに沢山人がいるにも関わらず、対応していたのが僕一人だけだったので、

声をかけてくれただけでも嬉しく、また安心した。

 

結局、倒れていた人は寝ていただけだったようだ、、笑

何か嫌な事があってお昼から飲んでいたのか、もしくは極限に疲れていたのか、、。

多少拍子抜けはしたが、何もなくて良かった。

 

おじさんは「じゃあ僕はここで。」と笑顔で降りて行った。

 

先日のほんの小さな出来事。

バタバタはしたが、警察とおじさんのお陰で、最後は温かい気分になった。

 

ただ少し複雑でもある。

 

都会ほど、人と人の関係は希薄になるという。

みんな働きに都会へ出て来ているのだから当たり前だ。

僕もいろんな土地へ住んだ経験があるので、自身でもそれは感じる。

 

今回も、周りの人は冷酷にほったらかしていた訳ではないだろう。

酔っ払いだと思った人も多いだろうし、

心配だけど、勇気が出なかったり恥ずかしくて、声をかけられなかった人もいると思う。

 

でもどう考えても、異様な光景だった。

 

周りの人の気持ちは良く分かるし、

ここで良い人アピールや頑張ったアピールをしたい訳じゃなく、

偉そうに上から言うつもりもないが、

人の目は気にせず、一歩踏み出す勇気をみんなが少しだけ持てれば、

世の中はより良く、素敵になるのではないだろうか。

 

現に今回一歩踏み出したことで、マイナスなど何もなく、

倒れている人の安否は確認でき、

僕とおじさんは逆に温かい気持ちで帰路に着いた。

 

そして、座れる席が4つ空いた。笑

 

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